黒戸尾根のピストンルート
登山日 2021/2/23(火)
総歩行距離 17.7km/累積標高差↑2577m↓2577m
体力度★★★★★
危険度★★★★★
絶景度★★★★★
※あくまで個人的な感想と計測
【コースタイム 】
・登りCT8:10 →結果8:40
・下りCT6:30 →結果5:00
・トータルCT14:40 →結果13:40
※結果のタイムは休憩時間も含む
【登山口へのアクセス】
車の場合
中央道小淵沢ICより約15分
竹宇駒ヶ岳神社のある尾白川渓谷の無料駐車場へ駐車(100台)。綺麗な24時間トイレもあり車中泊もし易いです。昼間は売店もやってます。
電車の場合
・JR中央本線小淵沢駅よりタクシーで約15分
・JR中央本線韮崎駅より下教来石行きバスで白須下車。約40分
・日野春駅よりタクシーで約15分
【今日の温泉】
尾白の湯 830円
この辺の山に登った時何回もリピートしているお気に入りの温泉の一つ。ベルガの公園内にあり、施設はかなり立派。中も広く風呂も大きく、露天風呂も大きい。サウナも水風呂も泡風呂も設備はかなり充実しており、なんと言っても凄いのはそのお湯!ナトリウム塩化物強塩温泉の源泉で、かなり塩っぱいのが特徴。しかもめちゃくちゃ高濃度なので、疲れた体に湯が染み込んで来るかの様で素晴らしい〜!黒戸尾根の登山口からすぐ側なので、ハードな登山の後にはもって来いの温泉です!
【地図等の詳細データはヤマップにて】
https://yamap.com/activities/10008360
【登山レポート】
2年前の冬、雪山初心者の私が凍りついた西穂高岳の山頂に半分捨て身でたどり着き、その時に感じた凄まじい高揚感と絶望感。そして目の前に広がる残酷なぐらい美しい光景。
ここには私しかいない。そして白く鈍く輝く穂高の山麓。なんて神々しいんだろう、今でもあの時の光景は忘れる事はない。
その後、私は夏も冬も随分とたくさんの山を登った。そんな私はあの時から山から何を学び、どう成長したんだろうか。
あの時の試練を思い出せ
山友のリョウさんに黒戸尾根に行こうと誘われた時、少し戸惑いました。本当は爺ヶ岳に登りに行く予定でしたが、天候がイマイチで行き先を急遽変更。それがまさか黒戸尾根になるなんて。遠いし、しかも翌日は仕事…。
黒戸尾根は甲斐駒ヶ岳へと続くとにかく急で長い尾根。日本三大急登の一つで、その標高差は2500m以上で往復18km。3年前の真夏、私はビビりながら黒戸尾根にチャレンジして、なんとか登頂出来たものの、あまりのハードさに帰りは本当に辛かった…。ガスって景色も見えなかったわけで。達成感は大きかったものの、あまり良い思い出ではなく、それからと言うもの黒戸尾根には近づいてません。
冬の黒戸尾根はより激しく、一般道の雪山ルートでは難易度は最上位クラス。ルート後半の核心部では死亡事故もしばしば起きており、かなり危険な上に重い雪山装備をかついでアイゼン着けてあの長くて険しい道のりを進むなんて正直想像出来ない。これまでの自分には全く関係のない縁のない登山だと思ってました。もし行きたくなったら、黒戸尾根の七丈小屋のツアーで小屋で一泊して行けたらいいかと思ってみたり。
リョウさんは冬の黒戸尾根を七丈小屋で一泊して一度登っており、今回は日帰りで行ってみたいとのこと…。
この話を聞いた時に意外だったのは、戸惑いつつも何故か遂にこの時が来たかと、素直に受け入れてしまったこと。ずっと自分には関係ないと目を背けて来たんだけど、いつか行かなきゃいけないって思ってた自分もいたと言う事なのか。
冬の西穂高を登った二年前の自分。あれから自分は山から何を学び、どう成長したのか。
山登りが辛いのは当たり前だしそんなのにはもう慣れている。後は怪我したり、死んじゃったりしなきゃいいだけの事
あの時垣間見た厳しい雪山でしか見れない美しい光景にまた会いたくて
一人だったら絶対に行かなかったから、今回声をかけてくれたリョウさんには本当に感謝しています
2021年2月23日 AM4:30
・竹宇甲斐駒ヶ岳神社。AM3:00出発の予定が、何故か予想外の雨が結構降っていて止むのを待ったせいで出発が遅れてしまった
・いよいよまた試練が始まる
・暗闇の中ひたすら。とにかくひたすら
・雪はまだ無いけど道が凍って滑り出して来たのでチェンスパを装着
・お馴染みのゾッとする看板
・遂に夜が明ける
・ご来光を撮るリョウさん
・綺麗なご来光。なんとなく中途半端な場所で迎えてしまい残念
・そしてすっかり夜が明ける
・とにかく長い。延々と続く結構急な登り
・サラサラした新雪が出て来る。どうやら昨日降ったみたいで。先が不安だ
・やっとで刃渡り。ここまで3時間弱。正直結構疲れた…。とにかくザックが重くて、夏のあの身軽さとは今回は全然状況が違う
・しっかり雪がついてますが、そこまでに怖くはない。でも落ちたらひとたまりもないので慎重に
・晴れてるのに八ヶ岳には雲がかかる。強風予報だし荒れてるんだろうな
・楽しいです〜
・ボチボチ階段や梯子が出始める
・普通の山ならもう山頂に着いてる
・黒戸山を行く。雪がフワフワすぎてチェンスパがあまり効いてない様な
・多分七丈小屋は奥の雪が積もった山の上辺り。本当に遠い
・場所によっては踏み抜きが。いよいよ雪が深くなって来た
・やっとで五号目に。まだ順調と言えば順調。今日はマメにエネルギー補給してますし
・この先もこの調子で
・七丈小屋までは梯子と鎖場の連続で一気に高度を上げる
・ダラダラ歩くよりこう言う方が好き
・鎖場も凍りついていてチョイ神経を使う。まだピッケルは不要
・お馴染みの橋、冬バージョン
・垂直梯子も連発
・サラサラ雪はかなり厄介。結構急だしチェンスパではもう限界です
・七丈小屋まで12本アイゼン着けないつもりだったのに
・そして遂に七丈小屋へ。ここまで約5時間半。少し休憩して態勢を立て直しましょう
・小屋は宿泊者以外は使用出来ません
七丈小屋で、朝一に山頂に行って帰って来たオジ様に会いました。小屋から上は雪深く、トレースも無かったとの事でかなりお疲れのご様子。トレースつけて頂いてありがとうございます。
そしてこの後が黒戸尾根の本番であり、状況が一変します…
・大体2400m付近。後600mもあります。確かに一気に雪増えてるし
・急登のラッセルの始まり…。おじさんのトレースに少し救われてます
・この登りも本当に長い。小屋以降一気にキツくなった
・曇ってた空に青空が
・長くて急な登りは途切れない。ピッケルを使いながら登る。雪が新雪のサワフワ気味でアイゼンがあまりグリップしないのも結構辛い
・それでもまだまだこの登りは続く…汗
・なんかこれに見覚えが。このルートには何故か剣が沢山あり
・八ヶ岳に背中を押されてながら。かなり眺望は良い
・悪名高き鋸岳。カッコよすぎ
・かなりキツい反面、景色もいい感じに。青空も出て本当に素晴らしい。ちなみにあのピークはまだ山頂ではなく、山頂は更にあの向こうなんです…
・やっとで山頂までの中間ポイントに。ちなみに今日は風速30m/s以上の強風予報でしたが、風は吹いてますが、思ったより穏やか。今のとこ
・そして遂に核心部へ。ここからは気を引き締めて行きましょう
・ミスったらヤバい箇所が連発。チョイ慎重に
・岩の脇や間を
・オーバーハングした鎖場の冬バージョン
・ホッと一息。やっぱかなりハード。小屋以降全然前に進まなくなったな
・ここからが問題の箇所。過去にお亡くなりにになられた方多数なんだとか…。
通常は手前の大岩の左手をまわり、ルンゼ状の壁を長い鎖場を伝って右上の烏帽子岩を目指しますが、厳冬期はただの雪の壁になるので大岩を右に巻いて登るそうです。まぁ、後で知ったんですけど
・トレースに沿って大岩の左手?へ
・そしてルンゼにぶち当たる。ビビってても仕方ないので、行くしかない。本当にただの雪壁…。かろうじて先に登った方のステップがあったのが救い
・地味に長いし、見てるだけでヒヤヒヤ。ちなみにコレ、下りる時によく落ちるんだとか…
・核心部を無事にクリアして遂に二本剣が刺さる烏帽子岩へ
・疲れ気味で失速してる上、景色が凄すぎてシャッターが止まらず、全然先に進まない。結構時間押してますけど
・その後も激登りは衰える事はない(汗
・振り返って烏帽子岩
・まだ終わりではありません。キツい…
・雪が減って岩場になって来た
・あれって山頂!?
・山頂は全然近づかない。でも凄く綺麗
・神社が雪で埋まってます
・雪の模様もいい感じ。あとチョットか…
・そして甲斐駒ヶ岳の山頂が目前に。遂に
・あぁ、遂に…
・遂に厳冬期の黒戸尾根を登りきりました!なんとか登れて本当に良かったです(涙
リョウさんも一緒だったのでそんなに不安は無かったですが、正直かなりキツかった…。スタートから8時間半もかかってしまいました。カメラを持って来なければ後1時間以上は短縮出来たはず(笑。
雪もまあまあ良いコンディションだったので登れましたけど、もうちょい雪が多かったらダメだったと思います。運が良かったです
・甲斐駒ヶ岳の標識がぶっ壊れてる。山頂は二人で貸し切り状態。賑やかだった頃の甲斐駒ヶ岳が懐かしい…
・大迫力の北岳!またいつか登りたい
・鋸岳への尾根も相変わらず凄い
・向かい側には中央アルプス
そしてなんと言っても富士山はやっぱ最高
・リョウさんからの気の利いた差し入れのミニビールで乾杯〜。ウマすぎです!
・帰る前に二人で記念撮影
・もっといたいですが時間がマジでヤバいので下山します。帰りも大変すぎ、下界が遠すぎ
・サラバです
・帰るには核心部をまた下りなけれならず、小屋までは本当に気が抜けない
・またヤバいルンゼへ突入。クライムダウンで慎重に降ります
・確かに登りよりコエ〜!かなり神経を使う
・クライムダウンしながら右手にそれて、岩の手前狭い足場をギリギリでトラバース 。地味にムズイ。コレをミスると500m落下するらしいです。なんと抜けましたが、ロープ使った方良いかも
・峠はなんとか越して、雪ズボズボしながら小屋へ帰還。もう多分死ぬ場所はないはず
・長い長い帰り道。空が綺麗
・もはやこんな梯子や鎖場はなんて事ない
・アホみたいに辛い雪の黒戸山の登り返しが悲惨
・なんとか刃渡りまで戻って来れた
・八ヶ岳の雲がすっかり無くなってます。雪も無くなってますね
・朝は暗くて見えなかったけど、実は登山道がずっとカチカチに凍ってる。アイゼン取ってスピードアップしたいのに、なかなか取らせてくれない
・延々と終わらない氷の道。なんで道だけ凍ってるのか。嫌がらせか
・そして日が暮れた。想定内です。クソナゲ〜
・この看板に着いてからがまた長い。もうクタクタ
・PM6:30 やっと着いた〜(涙
・厳冬期の黒戸尾根をクリアしました!
今から富山に帰って(車で4時間)、明日仕事なんて考えられません…汗
冬の黒戸尾根は、ハッキリ言って夏より過酷過ぎますが、夏より冬の方が素直に楽しめました。来るのに少々勇気は入りますが、素晴らしい山登りが出来て、また良い思い出が一つ増えて良かったです!もう当分来ないだろうなぁ
ではでは