銀山平ルートピストン
登山日 2021/5/15(日)
総歩行距離 17.7km/累積標高差↑1625m↓1625m
体力度★★★★★ ←健脚の人なら4ぐらい?
危険度★★★★☆
絶景度★★★★☆
※あくまで個人的な感想と計測
【コースタイム 】
石抱橋→道行山→小倉山→駒の小屋→越後駒ヶ岳(ピストン)
・登りCT5:19 →結果6:10
・下りCT4:27 →結果4:00
・トータルCT9:46 →結果10:10
※結果のタイムは休憩時間も含む
【登山口へのアクセス】
残雪期に登れるのは銀山平ルートだけだと思います。枝折峠や駒の湯登山口への国道352は通行止めなのでご注意を。銀山平登山口がある銀山平森林公園には、奥只見シルバーラインを通って向かえます。小出インターから1時間程度かかります。
皆さん登山口の近くの石抱橋のまわりに路駐してましたので、私も駐車させてもらいましたが、実はダメみたいです。森林公園に停めなければならないみたいですね。ご注意を
【今日の温泉】
千手温泉 千年の湯 600円
ナトリウム-炭酸水素塩・塩化物泉の源泉掛け流しのお湯といい、木をふんだんに使った風情溢れる建築や浴槽といい、広い浴槽や露天風呂といい、熱い温度とぬるめを選べる事といい、サウナと水風呂、泡風呂もある事といい、値段が18:00以降500円になる事といい、夜10時まで営業している事と言い、個人的にはパーフェクトな日帰り温泉!実は前日入した夜に入って、また山を登った次の日も来てしまった…。素晴らしい温泉です!
https://machidukuri-kawanishi.com/sennennoyu/
【地図等の詳細データはヤマップにて】
https://yamap.com/activities/11250608
【登山レポート】
今回は以前から登りたかったか越後駒ヶ岳に挑戦です!チョット遠いですが、ゴールデンウィークにどこにも遠征出来なかった上に、温泉にも入れてなかったので、のんびり旅気分で行ってみようと思いまして〜。
でも問題なのは雪。本音としては心境的にはもう雪山は避けたかったのですが、越後駒ヶ岳は厳冬期は登れない山らしいので、雪の越後駒ヶ岳を味わおうと思ったら、奥只見シルバーラインが開通する4月半ばから残雪期を登るしかありません。なので越後駒ヶ岳の雪山は今しか登れないというプレミアム感に惹かれた上、この日は何故かこのエリアだけ天気が良く、登りたくなる条件が揃ってた訳です。
という事で
・AM6:00 銀山平森林公園入口到着。ここに来るの二回目。2、3年前に平ヶ岳を登った帰りに温泉に立ち寄りました。お久しぶりぶり。凄くいいとこです
・石抱橋のまわりに皆さん路駐。お言葉に甘えて私も。路駐はダメって書いてありました(汗
・川がメチャクチャ綺麗!ていうか山遠くね?まさかエチコマあれじゃないよね(エチコマでした)
・では通行止めのゲートをまたいで登山口へ
・AM6:15 ここがどうやら登山口らしい。「河は眠らない!」キリッ
・早速凸凹雪原。しばらく延々と続きます
・銀の道なんだとか
・雪原穴だらけ。気が抜けません。踏み抜いたらヤバそう〜
・雪原はやがて川沿いの狭い道へ。チョイ気を使います
・川の向こうに銀山平森林公園や温泉が
・しばらく進んでこの橋を渡ります。この橋を見つけて渡らないと先に進めてなので必ず渡りましょう。最初の迷いそうなポイント
・道も川も雪溶け水で溢れております。防水の靴必須
・やがて川がでっかくなりました
・一言で言うと、スゲーいいとこ!
・本当にそこら中に水が流れてて素晴らしい
・景色に見惚れてたら軽装なカップルとトレランシューズにトレランザックのおっちゃんにぶち抜かれました。
ていうか、今日の山ってこんなに軽装で登れる山なん?私は未踏の山なので、心配でバリバリ雪山重装備で来てしまいました。チョット後悔…?
・雪渓の谷みたいな場所に侵入。雪渓をトラバース しながら進みますが、下の川が結構水量多そうで、深そうで、落ちたら多分ヤバい。ツボ足でみんな進んでるけど不安やなぁ
・私は途中で一応チェーンスパイクを装備
・しばらく進むとなんか進行方向が分からなくなって来た。夏道と冬道が入り混じるゾーン
・方向が分からなくなりみんなで色んなとこをウロウロ…。私も登ってみたり、戻ってみたり、なかなか道が見つからない。ナニコレ?
・どう考えても道じゃないとこを、さっきのカップルがトラバース しながら先行。どうやらそれが正解だったみたい。
・その先で更に迷ってしまう。気づくとGPSで地図見ても道なんかないし、他の方もさっきまで一緒に迷っていたのだか、気づいたら私一人になっていた…。
・やっと登山道を見つけた。正解は雪が全然ないとこでした
・ていうか、さっきの道迷いで予想以上に体力を消耗してしまったようで。すでにかなりシンドイのですが…。大丈夫かいな
・この尾根道はずっと完全に夏道ですが、とにかくずっと急坂でしかもめちゃくちゃ長い〜。そして虫が大量発生!バンバン顔にまとわりついてくる。そして耳や腕をブヨに刺されたり…。夏って虫の問題があるんですよね〜。もう最悪や
・この白い花が咲き乱れていて、とても綺麗なのはマル
・延々と続く急登。まとわりつく虫。気づくと凄まじい量の汗をかいてしまってビショビショ。しかも地味にバテてしまっているし
・また雪渓が出て来ました
・そして再び完全に雪原へ
・AM8:40 急登な夏尾根を登りきって、道行山到着。そして目の前に出現した越後駒ヶ岳を見て絶句。
綺麗なのはいんだけど、まだスゲー遠いし、結構登らなあかんし、しかも不覚にも既に相当の体力を消費してしまっているし。本当にあそこのてっぺんまで行けるのだろうか…。今日は多分ムリやろ…汗。越後駒ヶ岳ってこんなにハードだったの?ここで再認識する。
・でもこんなとこで引き返す訳にもいかないので、気力を振り絞って雪の尾根を再び進み始めました。
私は既にまた重大なミスを犯してます。ハードな山だと言う想定で来て無かったせいか、完全に舐めていて行動食を全然食べてなく、凄まじい汗をかいているのに、水も全然飲んでない。飲まず食わずでも、体は何故か平気なわけで…。でも平気じゃなかったみたいですけど
・中勾配の登りが続く尾根。このまま真っ直ぐ進むのではなく、まずは右端に見える小倉山と言うピークを経由しなければならない
・帽子が飛んでしまうぐらい暴風が吹き荒れ出す。今日こんなに暴風の予報だった?さっきまであんなに暑かったのに一気に体温が冷やされていく
・予想以上にエグい小倉山の登り(ため息
・うぅ…、辛い。やっぱ今日はダメかもしれない。どうしよう、なんか俺、今日は色々ミスってる気がする
・何だこのヤバそうなトラバース …。こんなんがある山だったのですか?完全に想定外。装備で迷った挙句、今回は前爪付きの10本爪を持って来ました。コレを使えばなんとかなるか。先は長そうなので、ピッケルはまだ出したくないな
・トラバース をクリアすると遂に足が止まった。あーあ、また腿が攣りやがった。なんか最近良く攣る様な…。クッソ〜、こんな山だと思ってなかったから今日薬持ってないし。お茶飲んでしばらく休憩するしかない。
予想以上に疲労して、大量に汗をかいて体内から汗と一緒に色々な成分が体外に出て行った上に、急激に冷やされたのがとどめだったのだろう。攣る条件が完全に揃ってしまっている。対策してればきっとこんな事にならなかっただろう。分かっているのにエチコマを舐めていて、対策をやらなかった俺。
今日はもう引き返せよって、自分に言い聞かせたがやっぱ無理だった。まだ先は長いのに…。単純にドMなんですよね。諦める事、追い込まれる事が結局好きなんだろうなぁ。ホントにアホ。ホントにいつも自分に呆れる。
・この先に見えるスンゴイ急登を見て更になえる…。今朝私を抜いて行った先行組の3、4人が急登を登ってるのが見えました。でも全然上に進んでなさそう。多分相当辛いんだと思います。
・そして私もなんとか長い長いとんでも急登へ。今の自分の体力でホントにコレ登れるのだろうか?
・あぁぁ、うぅぅ。10歩進んでしばらく止まり、また10歩進んで…。足が攣らない様に最新注意を払いながら…
・チクショー!ナゲー!やっぱダメなのか〜
・振り返って来た道を見て、ため息
・全然終わりが見えない。足か攣りそうになったらすぐに止まってお茶を飲んで休憩…
・気づくとあたりはクラックだらけ。なんだここは…
・巨大な亀裂も。地味に凄い場所。本当にこのまま進んで大丈夫なのか?
・クラックの浅い場所にトレースが続いている。クラックの上を通過したら、激しく踏み抜いてしまい、そのショックで体が攣ってしばらく動けなくなる…。泣きそう。ていうか半泣き
・踏み抜きからなんとか這い上がり、急登を登りきると、なんとまたもやとんでも急登が出現!しかもさっきの急登より急で更にクラックが激しい。
恐らくあの急登を登りきれば山頂なのだが…。先行組の三人が小さく山頂付近に見える。あんなの見たら悔しくてもう引き返せないじゃんか(涙
・急登に取り付く前に凄いトラバース ゾーンが
・ピッケル出しておけば良かった…。マジでヤバいやろ
・近くの山々で時々爆音の様な轟音が…。どうやら所々で雪崩が起きてるみたいで(汗。このエリアどうなっとんねん
・そして遂に本日一番の急登へ突入。と言うか雪壁。コレが今日の核心部ってワケですね。これを登りきると駒の小屋があるはず。とりあえず小屋まで行ければ、この苦境もなんとかなるはずだと信じて
・ピッケルで雪壁をゆっくり登っていると、先頭を登っていたカップル二人が登頂してもう下山して来ました。
二人とも雪壁をクライムダウンせずにピッケルを使いながら前を向いたいまま下りてきました。かなり慣れてるっぽい風。男性は余裕の表情で死にそうな私の横を颯爽と通り過ぎて行きました。次に上から連れの女性が。
すると次の瞬間、女性が「あっ」って叫んで足を滑らせて滑落!一瞬で私の真横を滑り落ちて行きました…。本当に一瞬の出来事で。そして私は振り返ると女性はなんとか減速しましたが、停止出来ずに大勢を変えて更に下へ…。するととっさに薮を掴んで停止。そしてその女性が「落ちちゃった…」と一言呟いていたのを聞いてドン引きする私。ショックでしばらく動けませんでした。落ちたらその先はクレバスだらけやし。大惨事にならんで本当に良かったとです…。
・ホントに無事で何よりなお二人。そして心身的にも身体的にもダメージを受けっぱなしの私。私にもうモチベーションは残ってません。なんて日なんだろう…。
・そして長い雪壁を登りきると
・AM11:45 駒の小屋へ到着。やっとここまで来れたし。しばらく休憩しないとほんとにヤバいです。ここまで来るのに結構時間がかかってしまったし…。ちなみに小屋は営業していて管理人さんがいました。
・休憩しながらザックの中を見て愕然…。予備タンクとして携帯していた1Lの水は、ハイドレーションボトルに穴が空いたらしく、なんと漏れ出て空になってました。ザックはビショビショ。またもやドン引き…。マジでなんて日なんや。マジで俺死んでまうで〜。エーン
本日はミラクルしんどいし、色々ショック受けてるし、モチベーションゼロやし、不安やし、最悪の日。神様、私を早く帰えらせてください…、ほんとに帰れるのか…。
・小屋に水場があって助かりました(汗。この水場がなかったらどうなっていたのだろう。
・そして最後の難関へ。登りたくないけど、ここまで来たらもう登るしかない
・壁ではないのでそんなに怖くも難しくもない。ただただシンドイだけ。もう無心。足半攣り
・なんであそこだけ雪が無いんだろう?まさかあそこは…
・PM12:20 登頂完了!
山頂に到着しました!今日の体調で、ここまでもった事がほんとに奇跡と思える!はっきり言ってただの試練でしか無かった(涙目
・達成感も凄いし、やったで!と思いたいけどあんまり嬉しくなかったりする私
そしてオニギリを食べながら、ボロボロになった体をしばらく休めました。
・頼むからこんなみじめな俺を見つめないでくれい!
・目の前にでっかい八海山!
・中ノ岳方面の景色。夏に越後三山を歩いてみたいっす
・綺麗だけど何故か全部同じ山に見える
・実は頭に穴が空いていたのですね
・まあまあ休憩したので、ボチボチ帰りますか〜。帰りも怖いから
・最高〜!帰りはきっと楽なはず〜と信じて
・改めて、雪が割れまくってる
・おぉ、また雪崩の轟音が…。リアル雪崩初めて見たし
・クラックゾーンを慎重に通過。このあたりで滑り落ちてしまうと…
・深さ3、4mはあるデッカいクレバスにすっぽり入ってしまいます!落ちたら終わりやね
・本当に急だったなぁ
・サラバエチコマ!俺をこんな目に合わせやがって、覚えてろよ!また今度リベンジや
・ていうか、やっぱ足がダメ…。時々攣ってしまう。はっきり言って辛い…。高速下山は無理。帰り道はまだまだ長いけど、足がもつかなぁ…
・足がこんな事にならなければ。こんな山なんて。また風が強くなって来たし
・雪が無いとこはお花が沢山咲いてます。
・銀山平めっちゃ遠いやんけ〜汗
暴風の中トボトボ歩いていると、下から登って来た私と同年代ぐらいのソロの男性に話しかけられました。
「小屋まで行ってテン泊する予定ですけど、この先どんな感じですか?アイゼンも6本爪の軽アイゼンで、ピッケルもないのですが」
と聞かれたので私は素直に、
「まだまだ小屋まで相当距離ありますし、ここから先は登りがハードになる上にトラバース とか結構危険な急登とかあるので、アイゼンやピッケル無いと厳しいのではと思いますが…。しかも明日は天気悪いですし。と、素直に伝えるとその男性は、
「じゃあ、ここで撤退しますわ!」との事
なんと言う潔さ。自分にはこう言う判断が出来ないのでチョット衝撃的でした。また登りに来ればいっか、との事。しかも横浜からわざわざ来られたみたいなのに。
なんで私はいつも追い込まれても、ピンチになっても撤退しないのだろう、出来ないのだろう。いつかきっと絶対何かが起きるのではないかと最近良く思います。本当にこの方の判断力を見習わないといけません。
・男性とおしゃべりしながら一緒に下山していたら、派手ににコースアウトしてました〜!登って分岐まで戻ります。辛いなぁ
・もう一人の下山中のソロの人とも意気投合して三人で下山する事に。二人ともめちゃ元気で凄い速さでガンガン下っていく。私は滑ってこけてみたり、たまに攣りそうになって停止してみたりしていると、すっかり二人に置いていかれましたが、先で待っていてくれました。(そんなに早く歩けないから、待ってなくていいのに…)本当にスミマセン、私、いつもはもっと元気なんです
・後半、なんかもう本当に体中の動きが変。ボロボロと言う言葉が相応しい状態。今日はこんなに壮絶な登山になってしまうなんて誰が想像しただろうか。
・PM4:50 なんとか帰ってこれた〜!
駐車していた石抱橋は凄まじい量のブヨ等の虫まみれ!外で着替えてる最中も虫にまとわりつかれるし、甘噛みされるし…。上手く動かない体にムチ打って、なんとか着替えて車に乗り込むとこの後が大変でした…。
車に入ったとたんに、緊張の糸が切れた様に足や体がどんどん痙攣を起こして、私は動けなくなくなりました。地獄の苦しみ。なんでこんな目に遭わなきゃいけないんだろう。今までここまで攣った事はないですし、山登りでこんな事になった事はありません。本当は一緒に下山したお二人と銀山平温泉に行きたかったのですが、体がそれどころではなかったので、泣く泣く行けませんでした。その後なんとか車を運転してその場を去り、道の駅でポカリをガブ飲みながら1時間以上倒れて死んでました。
この前の五竜も攣りまくって酷い目に遭いましたが、どうやら私は攣りまくり病になってしまったみたいです(汗。私は普段はあまり汗をかかないのですが、運動をするととてつもなく汗をかきます。汗により水分やミネラル、塩分等がドンドン放出されるみたいで。コレに対するケアを怠るとこんな事になってしまうのですね。自分がこう言う体質であると言う事は分かっているので、夏はマメに水分や塩分補給をして気をつけているので平気なのですが、残雪期は油断して対策を怠ってしまいがち。あまり汗をかかない冬山気分で登ってはダメと言う事です。(寒くて汗をかかない冬は全然攣りませんし)
残雪の越後駒ヶ岳は単純にハードでした。しかもまだ雪がたっぷりあり、危険なトラバース や急登も結構あり、まだまだ雪山状態です。なのに登ってる方は皆軽装で、チェーンスパイクとストックで登ってる人もいて、それを見て私も油断してしまいました。残雪期は事故も多発しておりますし、天気も急変して雪が降ったりする事もありますし、雪崩も起きやすいですし、実はとても危険なのです。今回の登山で残雪期は色々と怖いなぁと考えさせられました。
今度こそユル山プリーズ!
・温泉って本当効くんですね〜
ではでは