今日も山を登って来ました

山登りのレポートや写真を紹介します!

僕の好きな山はなんだ

あの人は言いました。

「アンタには好きな山はないの?」

それは僕に対する嫌味と言うかバカにする一言だったのだと思う。


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2021年が終わる。

今年は北アルプスの主要な山はほとんど登れたし、ずっと行きたかった場所にも大体行けた。今年も本当にたくさんの山を登った。山登りだけじゃない。全然好きでもなんでもないんだけど、マラソンも少し頑張ってみて、人生初のフルマラソンにも出た。仕事では新しい仕事を任されて部下も増えた。今まで以上に難しい目標を立て、一定の成果も出せたはずだ。富山に異動して二年目、一年目と変わらず山登りと仕事しかしてない。なんの色気もエンターテイメント性も無い、過去の自分ではあり得ないぐらいストイックな一年だった。別の言い方をすると人生で最も充実していた一年だったのかもしれない。でもその代わりに山登りでも仕事でもたくさん苦しんだし、たくさん悩んだんだよね。身内にも悲しい不幸もあった。いい事もあれば、きっちりと悪い事もある。何事も等価交換なんだと考えさせられた一年でもあった。

 

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単身赴任で一人になり自由になったかわりに、これまででは考えられない様な孤独な生活が待っていたが、この二年でそれにもすっかり慣れて楽しめる様になっている自分がいた。通販の配達以外でうちへの訪問者は一人もいなかったし、東京ではあんなに頻繁に行ってた飲み会もほぼ無いから、毎晩家で好きな食べ物を作って、好きな音楽を聴きながら、山の写真を整理したり山の情報を見ながら一人で酒を飲んだ。週末は山に行きクタクタになった体を最高の温泉で癒す。帰りにすき家で大盛り牛丼を食べた。もちろん汁だくで卵と紅生姜をたっぷり入れて。その翌日は軽くランニングして、その後のサウナでばっちり整う。サウナから上がった後は何故か冷たいカルピスソーダをがぶ飲みした。このルーティンがたまらなく心地良かった。

仕事でも社内に仲の良い仕事仲間や同僚や部下はいるけど、こんなご時世だからか直接会う機会も減ったし、コンプライアンスとか言うよく分からないおまじないのおかげで、周りの人間や部下とも一定の距離を取って接する様になった。実際にこれまででは考えられない様なちょっと厄介な問題も起き、傷ついたしちょっとヘコんだ。希薄になって行く人間関係。これからの時代を上手に生きて行くポイントは、孤独とどう向かい、付き合いながら楽しんでいくことなんだとこの二年で学んだ。

 

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山友のみなさんには本当にお世話なりました。様々な出会いもあり、みなさんのおかげでいろんな山を知れたし、いろんな山に挑戦する出来た。みんな楽しい人ばかりで、何故か山登りも写真もレベルの高い人達ばかりだったから、本当に刺激的で勉強にもなり、僕もレベルアップも出来たと思う。この出会いに感謝です。

でもみなさんに置いて行かれない様に、呆れられない様にと無理もして強がっていたのも事実。バレてたと思うけど本当はヘタレのポンコツ野郎なわけで。みなさんに着いて山を登って行きながら、自分がやりたり山登りってなんだろう、そして自分が好きな山はなんだろうって、だんだん考える様になっていたのかもしれない。

 

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あの人は本当に穂高槍ヶ岳剱岳が好きで、基本いつも北アルプスばかり登っていて。夏でも冬でもソロで北アルプスのハードルートばかり登り、嬉しそうにSNSにレポートを上げる。本当に楽しそうに、そして凄い早さで登る。山頂での決めポーズがあって、それがなかなか誇らしげでカッコいい。あの人が使ってるギアも好きだった。まさに山屋って感じがした。僕はあの人みたいに北アルプスを駆け巡ぐれる様になりたいと思っていたし、一種の憧れの様な感情を抱いていた。関西弁で本当に口が悪くて、ワガママで、夜メールするといつも酒を飲んで酔っ払っていて、詳しくは聞いてないけど私生活でもなんかこれまで色々あったみたいで、よくわからないけどとりあえず普通の人ではない。ドラマとか映画に出て来そうな人だ。僕が北アルプスを登り始め、雪山もやり始めたばかりの頃にあの人に出会い、登山の色々な事を教えてもらい感謝していた。今思えば師匠の様な存在の人だった。

 

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僕が富山に引っ越して来てからしばらくして、コロナも少し落ち着いたから、あの人とまたどこかの山を登りに行こうと言う話になった。でも行き先がなかなから決まらなくて口論に。僕も一昔前に比べたら随分と山を登れる様になり自信もついていたせいか、あの人の上から目線の物言いや、ワガママさにイラッと来る事もしばしばあり、だんだん文句も言う様になっていた。

「この前も穂高に行ってたのになぜまた穂高北アルプス以外にも山は沢山あるし。毎回毎回良く飽きないですね。たまには他のとこにも行けばいいのに」

と言うと

「じゃあ、一人でその辺の山でも適当に登っとき。ウチはあんたみたいに雑食ではないし、他の山なんかおもしろないし、興味ないわ。アンタと一緒にすなや。いつもの山仲間と高尾山でも登っとけ」

と返された。

あの人は恐らく北アルプスの山以外は山と思ってない。百名山とかにもまるで興味がない。同じ山好き同士なのに、なんでそんな発想になるのか私には全く理解が出来なかった。この後も当然口論は続き、結局一緒に山に行く事は無かった。

 

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またある人もやはり北アルプスの虜で北アルプスばかり登っている。俺の好きな北アルプスの山ランキングはコレだとか、あの山はクソだとか、過去に登った山の苦労話や、一緒に登った凄い人の話などをいつも熱く語る。

そしてある人はとにかく早く歩く事にこだわり、恐らく景色や花には興味がなくほとんど見てない。しかしトレーニングの方法や走ったり早く歩く事に対する情熱やこだわりは半端なく、やはりいつも似たような山ばかり登っていて、抜いたとか、抜かれたとか、何時間で登れたとか、やはり熱く語っていた。

そしてある人は剱最高とか、愛してるとか言いながら、何回も何回も剱岳を登っていたり。

僕が知っている人たちは山へのこだわりが相当強く、好き嫌いもはっきりしていて、そしてなにより山への自信に満ち溢れている。正直それが羨ましかった。なんでみんなそんなに自信があるのだろうかと。闘争心を剥き出しにするのだろうか。自分はそこまで自信は持てないし共感出来そうにないから、少し離れたところからそれを眺めるしかなかった。

 

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僕がもし好きな山はどこ、これまで登った山で一番良かった山ってどこ、って聞かれたら答えられるのか。もし答えるとしたら、これまで登った山は全部好きだし、楽しかったと言ってしまいそうだ。一番大変だった山登りや山行はと聞かれたら、楽だった山登りなんて一つもない、全部辛かったとやはり言ってしまいそうだ。別に適当に言っている訳でもない。楽しかったり、感動しまくったり、ピンチになったり、絶望したり色んな目に合ったりと、これまで登った山で起きた事は大体忘れずに覚えている。

なのに、これって言う山の名前がいつも出て来ないし、またあの山に行きたいと言う、強い気持ちや思いも湧いて来ない。

あれだけいつも北アルプス登ってたんだから、北アルプスが好きなんじゃないのって言われそうだけど、ちょっとそれは違う。凄いとこだと思うしもちろん好きではあるけど、惚れ込んではないし、実は大した思い入れもない。近くに有名な山域があるから、今のうちに登っておかないともったいないと思って登っていただけなのかも。


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こんな事を言っていると僕が好きな物やこだわりの無い奴に思えて来るけど、決してそんな事はない、と言うかそんなワケがない。僕は学生時代からこだわりの塊みたいな奴で、ワガママで相当面倒くさい奴だった。若い時はこだわりの無い奴を散々見下して来たし、自分の好きな物のを他人に押しつけて、嫌いな物は認めなかったし受け付けなかった。そして徹底して避けてきた。大学卒業後にテキトーに地元で就職したものの、そこには自分の趣味や理想とはかけ離れた世界が広がっていたからとにかく耐えられなくて、すぐに辞めて東京に行く決心をした。このどうしようもない、好きなモノに対するこだわりで、親や親戚に一体どれだけの迷惑をかけたのだろうか。

 

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2021年が終わる。

山登りでも仕事でも色々ないい事があったし、きっちりと悪い事もあった。何事も等価交換なんだと思わされた一年。

 

この年末にかけて、山登りや仕事の事を振り返り、いろいろと反省をした。なんか理由は良く分からないけど地味に辛かった。

無謀だとは分かっていたけど、また山でボロボロになり、頭を空っぽにしたくなり、そしてあの人が好きだった雪の穂高を眺めたくなって初冬の笠ヶ岳に向かった。結果は以前お話しした通り。スッキリして山への情熱が蘇るどころか、そう言えば俺ってここで何してるんだっけ、なんでわざわざ辛いめにあってんだっけって我に返ってしまった。

 

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この年末は早めに東京の自宅に戻れる事になり、クリスマス前から家でテレワークをしていた。久々に東京の事務所にも出社して、新しく出来たオフィスへ。相変わらずテレワークで殆ど人はいなかったけど、ビデオ会議越しではなく直接部長や同僚に会えた。なんかみんなちょっと老けていて、弱っている様にも見えてちょっと大丈夫かなと思ったり。その夜は久々に東京で記憶がなくなるぐらい飲んだ。

家に帰ると少し成長した娘がいて、ウサギのライ君もいて、ライ君がどうしようもなくかわいくて、愛おしくて、毎日ずっとライ君を眺めて戯れている。山や富山と切り離された生活はとても平和だ。年末の家の用事に追われながら、この日記を書きながら、この一年の事を振り返っている。色々あったけど、自分にも家族にも事故や大きな病気等もなく、また平和に今年を終えることが出来て本当に感謝です。


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僕は山登りに冷めてしまったのだろうか。嫌になってしまったのだろうか。山や仕事やあの富山の生活に疲れてしまったのだろうか。また以前の様に、なんも考えずにみんなでアルプスをワイワイ山に登りに行けたらいいなと願っているけど、今は前みたいに楽しめる自信がなくて。

この年末は本当に山に行けなかったし、行かなかった。年が明けたら必ず行こう。でも来年はいったいどんなモチベーションで山に向かえばいんだろうか。僕のしたい山登りってなんだろう、僕の好きな山っていったいなんなんだろうか。その答えが少しでも見つかるといいんだけど。



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