今日も山を登って来ました

山登りへの思いやレポートを写真で紹介するブログです

常念岳の東尾根を冬の終わりに

常念岳(標高2857m 日本百名山

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東尾根ピストンルート

登山日 2022/3/4(金)

総歩行距離 21.7km/累積標高差↑2324m↓2324m

体力度★★★★★

危険度★★★☆☆

絶景度★★★★☆

※あくまで個人的な感想と計測

 

【コースタイム 】

須砂渡ゲート→前常念岳常念岳(ピストン)

・登りCT不明 →結果7:15

・下りCT不明 →結果4:00

・トータルCT不明 →結果11:15

※トータルに昼休憩時間は含まない

 

【登山口と駐車場】

入口のゲートは、お馴染み三俣登山口に向かう途中のほりでーゆの前。ゲートの手前の道の脇に10台ぐらい駐車可能。

 

【地図等の詳細データはヤマップにて】

https://yamap.com/users/356090

 

常念岳の東尾根を冬の終わりに

 

今にも動かなくなりそうな足に、頼むから動いてくれよと鞭を打って、ヨチヨチと半分凍った真っ白な斜面を登っていると、向こうに目指していた祠が見えた。

久々にとんでもない消耗戦だった。そうなる事は百も承知の上だったけど、まさかここまで追い込まれてしまうとは。登頂しても正直恥ずかしいし、情け無いし、全然嬉しくなかった。

今回も初冬に目指した笠ヶ岳時みたいに諦めて前常念で撤退するつもりだったから、たどり着けて心底ホッとしただけ。ただそれだけで

 

僕は難易度高めの山ばかり行きがちだし、アホみたいに日帰りばかりしてるから、たまに僕の事を凄いと言ってくれる人もいるけど、実は全然凄くもなんともない。いつも言ってる様に僕は昔から典型的な運動音痴で、今でこそたまにランニングしてるけど、タイムは一向に伸びないし、体も筋肉とか全然無くて体脂肪だらけでブヨブヨ。

運動すると気持ちいいし、山で大汗かいてボロボロになると頭や体がスッキリするから、それなりの山をとにかく我慢して登っているだけ。好きな事なら我慢出来るのが僕のとりえなのです。

自分もかつてそうだった様に、山初心者の人に限って名のある山や難ルートを無理矢理踏破して、ちょっと早く登れたりして、SNSとかにあげるとチヤホヤされたりして、自分は実は凄いなんて思ってしまいがちだけど、山なんてクライミングでもない限り一般道なら特に技術や体力が無くても、我慢すれば誰だって登頂出来る。子供でも登れてしまう。だから最近は山を登頂する事自体は全然凄くもなんともないと思っていて、重要なのは登頂よりもどう登るかと言う過程の部分だと思う様になって来た。

僕はこれまで山でどんな目に遭っても登頂出来ればそれで良しと、ひたすら我慢して山登りをして来たけど、何度も山でボロボロになり辛い目に遭ううちに、こんなギリギリな醜い登山に何の意味があるのかと真面目に思い始めていて。ハッキリ言って危険でもあるし、そんな状態で登頂したところで本当にその山を登れたと言っていいのか。それなりの山に挑戦したいなら、やはりそれなりの体力や実力をつけてから挑むべきでは。

今回も僕をブチ抜いて颯爽と下山して行ったあのにいちゃんに会い改めてそう思った。笠ヶ岳の時も屈強な三人組が駆け抜ける様に登頂して下山して行った。スピードとかタイムなんて正直どうでも良いんだけど、僕もあのスマートさと余裕が欲しくて。オリンピックとかのマラソン選手も凄いタイムで完走しても、終始取り乱さないし、ゴール後も死にそうになってない。あれは日々練習して想定通りに事を運んでいるからだろう。

でもこれまで僕も何もしてなかった訳ではなく、たまにランニングしたり家で軽く筋トレとかもしてたから、今日はもうちょっといい感じに登れると思ったんだけどやっぱダメだったか、と言う心境。もう今のやり方ではきっと限界なのかもしれない。

 

真っ白な穂高連峰槍ヶ岳を眺めながら、この先もこんな感じで山登りを続けたいならもうちょっと本格的に鍛えてないとなとダメだなと改めて思った。でも一方では、少し山と距離を置いて行った方がいんじゃないか、もう程々にしておけばと言う思いもある。

ちょうどいい岩場に腰を下ろして、色んな事を考えながら、ダメになった腿をグーでトントンと叩きながら、穂高連峰をずっと眺めていた。

 

それにしても冬の北アルプスは本当に厳しいし相変わらずため息が出るぐらい美しかった。

 

 

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・駐車場に到着。既に5台ぐらい停まってる。ほりでーゆの側で、いつもなら三俣登山口に行く途中のとこ。


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・AM5:10 いよいよスタート。ちょっと流石に遅めな気がして心配。日が暮れるまでに帰って来れるといいけど


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・ゲートをくぐった途端に雪道。この道も冬はこんな感じになってしまうのか


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・ひたすら雪の道路を歩く。落石いっぱい


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・AM5:44 ここが東尾根の入口みたい。バリエーションルートなんで登山口なんて看板はないけど、この黄色の奴が目印

 

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・緩やかな感じの雪の樹林が続く。道はちゃんとあるしトレースもあります。しばらく登って行くと鉄塔があり、この辺から登りがいきなり急になっていく


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・まずは雪&熊笹ゾーン。雪が無かったらただの薮なんでしょうね、ココ

 

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・展望もない中途半端な場所で日の出


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・向こうに綺麗なモルゲンが〜。ちゃんと見たかった。

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・すると辺りがどんどんオレンジに染まっていく


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・キリがいいから休憩がてらアイゼンつけよう。結構坂急だし、ツボ足のままだと地味に滑るし。

きっと今日はこれぐらいの登りが延々と続くんだろうなと思ってる私


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・アイゼンつけてたら、チョッパヤにいちゃんにブチ抜かれた。ちなみに本日の日帰り挑戦者はこのにいちゃんと私の二名。後、バックカントリーの方一名。

 


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・なんかだんだん登りの勾配がエスカレートして来た…。しかもどこまでも途切れる事無く続いてる

 

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・トゲトゲの樹氷に癒される。


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樹氷を見ながら、この想定外のクソ急登樹林帯が1時間以上は続いている。全く平にならんし、なげーし、マジで辛い(汗


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・辺りのガスが薄れて来た〜。どうやら今まで雲の中にいたって事なんですね

 

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・青空!しかもクソロング急登を遂に登り切ったっぽい


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・クソ急登を耐えた樹氷のご褒美〜


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・白と青のコントラスト!きれい〜


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・そして雲海!富士山も見えとるね。今日の天気は期待大


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・と思ってたらまた急登…。

雪の量が増し気味で、トレースから外れると膝上まで踏み抜いちゃう感じ。

本当にこの尾根舐めてた。辛いのは後半の森林限界だけで、前半は割となだらかな樹林帯が延々と続くのかと勘違いいたけど、実際はクソ急登樹林帯が延々と続くと言うあまり無いパターンでした。足の調子がおかしくなってきた。


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・AM8:47 樹林帯の切間から常念岳蝶ヶ岳がめちゃ綺麗に見える絶望スポットへ。スタートしてから4時間弱が経過。こんだけ延々と登って来たのに、目指す山頂はまだあんなに遠くにあるなんて…。後何時間かかるの

 

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・我慢して再び樹林帯を延々と進むと、テントが三張り。撤収して帰るソロのにいちゃんに、もうちょいで森林限界ですよって励まされました。良い人でした〜


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・AM9:40 そしてやっとで森林限界へ。とても綺麗すぎるけど、同時に私の両足も限界へ…。足がパンパンで攣ってついに動かせなくなってしまった。体力的にはまだ平気なのにこの足が。こうなるのは経験上初めてじゃないから、今日はかなり温存して気をつけて登ったつもりだったけどやっぱダメだったか。それにしてもダメになるのがチョイと早かった。まだここは山頂までの折り返し地点のイメージ。こっからが本番なわけで。

こんな状態じゃ、どう考えてもあんなの登れんでしょ…。しかもアソコに見えるピークは常念じゃなくて前常念だからね。常念は更に向こう側やし


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・とりあえず立ち尽くしながら、お茶飲んで行動食を食べながらボーッと雲海を眺める。どっちにしても足が回復するのを待つしかない。

すると常念方面からテン泊の二人組が帰って来て話しかけられた。

「日帰りですか?朝5時に出てこの時間にここまで来れてしまうんですね〜、凄いなぁ!今日は最高ですよ」

凄いどころか、ダサ過ぎる事に私の足は動かなくなってしまっている。山頂にも行けなさそうだし。本当に情け無い。

二人と話していたら少しだけ足が回復して来た。


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・とりあえずなんとしてでも前常念までは行こう。まだ時間あるし、こんなとこで撤退なんて有り得ない。足は高く上げずにゆっくり小股で進めばなんとか持ちそうな気が


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・小股で足に負荷をかけないようにヨチヨチ数歩進んでは休憩。そしてまた数歩進んでは…。全然前に進まん。牛歩と言うか完全に亀。それなのに激しい前常念の登り。頼むから足が元に戻って欲しいと願うばかり…


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・うぅぅ、辛い…。こんな死にかけた足でこんなとこ登るとかありえんやろ


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・ただの雪の急登ならヨチヨチ進めばまだ耐えれるけど、時折岩場をよじ登られるのが試練。こんなのいつもならなんともない登りなんだけど、とにかくこのポンコツの足の野郎が…。ちょっと無理するとすぐに攣って動けなくなる。

岩場の前で立ち尽くしてたら。今朝僕を抜いて行ったチョッパヤにいちゃんが山頂から戻って来た。めっちゃ笑顔だった。


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・前常念なげーし、つらすぎ(涙。こんなペースじゃ全然山頂につかんし


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・上に行けば行くほど足殺しの岩場が出て来てうんざりしてみたり。アソコに見えるのが前常念の山頂か

 

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・AM11:24 なんとか前常念には来れた。良かった…。でも流石にもうダメや


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あの丘で絶景でも見ながら、飯でも食べて足の回復をさせよう。こんな足じゃとてもじゃないけど帰れない。過去の経験から長めの休憩をすれば足は回復するばす。

東尾根冬期ルートはここまでで、前常念からは夏道と合流して同じ。


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・久々の穂高連峰〜&乗鞍。やっぱ凄いわぁ


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大天井岳方面の風景手前のピークは横通岳か


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・そして常念岳。前常念を常念岳だと勘違いしてた人には絶望的な光景だと思う。僕も数年前の夏に前常念を登りきってこの常念を見た時はドン引き記憶が。

 

しばらく岩に腰掛けて休憩しながら常念を見ていたら、去年の笠ヶ岳を眺めながら撤退した事を思い出した。ここで下山したらまたあの時みたいな嫌な思いをするのだろうか。

ちなみにココから常念の山頂までの夏のコースタイムは1時間ちょい。今の時間が11:40。見た感じラッセルとかも無さそうだし、14時をデットラインにして常念に辿り着けれは行けなくも無い気がして来た。どちみち帰りは夜だろうし。

もう誰もいないし、ストックとか使わない荷物は座ってる岩の横に置いて、ザックを多少軽量化。これで少しは楽になるはず。ザック丸ごとデポってピッケルとカメラだけ持って向かいたいけど、滑落したりなんかあった時に怖すぎるからそれはやめとく


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・そして気力を振り絞って常念へ向かった。

やっぱ装備の軽量化が効いてる。少し休んでアミノをどっぷり注入したせいか足もさっきより調子が良い。登りも前常念ほどキツく無いのが救い


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・槍様が僕を応援してる。気がする


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・この夏はあっち側にも行ってみよう

 

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・問題は山頂直下のあの登りか…。

 

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・最後の一踏ん張り。ただ急なだけでそんなに危なくはない…


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・とにかく耐える、ひたすら耐える


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・あれは

 

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・PM12:15 なんとか登頂完了!

本当になんとかって感じ。前常念から思ったより早く着いた。山頂には誰もいません。


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・でも登頂できて心底ホッしただけで、あんまり嬉しくはない。コースタイムは何時間か知らないけど、スタートから7時間もかかってしまった。久々にただの消耗戦みたいな山登りだった。足がこんな事にらならなければ1時間以上短縮出来たはず。

やはり僕の足は弱い。短距離なら多少ハードでも平気だけど、長時間の負荷には耐えられない。冬は冷えるしアイゼン着けてるし、装備も重いから尚更。いつも限界が来ると突然足が攣る。もっと塩分やミネラル補給をちゃんとやれば多少違うかもしれないが、やはり根本的に身体能力が低いんだと思わざるえない。

やはり僕みたいな運動音痴はちゃんと鍛えないとダメなんだ思い知らされたし、こんなルートに挑戦するのは少し早かったのかもね


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・もっと強くなって、いつかは冬の穂高に行ってみたい。老いる前になんとかしないと


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・ありがとう槍ヶ岳様!ちょっとまた行きたくなったけど、なかなか辛そうだからやめとくわ(汗


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・PM13:00 休憩して写真も撮りまくったから下山開始。大分回復したし下りはもうちょいちゃんと足が動いてくれるはず(過去の経験より)

 

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・冬の常念カッコいいなぁ


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バックカントリーの若者のすれ違う。スキー板とかここにデポって、まず山頂を目指すんだとか。帰りが楽そうで羨ましいわぁ


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・前常念の下りが登りと違って死ぬほど楽な件

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・なんか白いのが動いたと思ったらライチョウだった〜!


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・しばらくライチョウを眺めてみる。望遠レンズ持って来れば良かったです


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・樹林帯のアホみたいな急登も帰りは死ぬほど楽


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・でも結構踏み抜くのが厄介


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・予想以上にいいペースで下りてる。行きの登りはなんだったんだろう


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・なんと、明るいウチに最初の林道に戻って来れた〜


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・朝は真っ暗で何も見えなかったけど


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・今日はどうなる事かと思ったけど、いつも下山時は元気な僕

 

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・スタート地点付近からの常念岳。あんなの遠すぎやろ!あんなとこまで行ったのね


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・PM17:00下山完了〜。日没前に帰って来れて一安心!登りで足があんな事にならなければとても楽しい登山だったはず。

噂どおり東尾根は長くてハードだけど、そこまでの危険も無く後半は絶景の連続で雪山好きには本当に良いルートですね!


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・最近ご無沙汰だった糸魚川のひすいの湯に行きたくなり、本日はここで温泉&サ活。ここのお湯石油臭くて本当に独特で好き。


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・大きな仕事をし終えた後のオロポは身に染みるぜよ

 

この冬もなんだかんだで色々な雪山を登る事が出来ましたけど、やはり、気力だけで山登りを続けるのは限界があるといい加減感じつつあります。体力つけるだけではなく、ちゃんと体を鍛えて筋力をつけて、来年の冬はもっといいゲーム出来る様に頑張りたいと思います。この夏は去年以上にテント泊をしたいので、重装備に耐えれる様にならないとですね〜

 

ではでは