御沢野営場からピストンルート
登山日 2022/7/8(金)
総歩行距離 21.6km/累積標高差↑2205m↓2205m
体力度★★★★★
危険度★★★☆☆
絶景度★★★★☆
※あくまで個人的な感想と計測
【コースタイム 】
御沢登山口→三国岳→切合小屋→本山小屋→飯豊山山頂(ピストン)
・登りCT7:50 →結果6:37
・下りCT6:30 →結果4:30
・トータルCT14:20 →結果11:07
※トータルに昼休憩時間は含まない
【登山口と駐車場】
キャンプ場なので駐車場も広く、水洗ではないけどちゃんとしたトイレもあります。結構整備されてます。駐車場の随分前の集落や山道からスマホの電波が全然入らないのでご注意を(SB)。
【地図等の詳細データはヤマップにて】
https://yamap.com/users/356090
飯豊山の山頂からの風景
まさかこんな序盤に西穂みたいな岩稜帯が待ってるなんて。しかもここまでの道のりも結構長かったのに。
いつもなら喜んで登っていきそうなとこだけど、スタートしてからずっとここ最近の仕事の問題や、それに関係した嫌な事とかを考えていて、それが全然頭から離れてくれなくて、正直岩場とか鎖場どころではなかった。なんかこの状況がとても辛くて。
今週は山を登るなんて発想は1ミリもなかったし、実はもう山はしばらくはいいかなと思っていたんだけど、この何日も続くネガティブな思考になんとか終止符を打てないかと、半衝動的に会社を休んでイヤイヤ飯豊山を目指す事にした。
飯豊山は山頂まで距離がとても長く、テン泊や小屋泊で登る人が多いイメージ。だから私もタイミングを見てテン泊で行く事を楽しみにしてキープしておいたんだけど、ギリギリ日帰り出来てあんまり大変そうじゃなくて、ちょうどいい山はないかと思っていたら、飯豊山の事を思い出してしまった次第で。
いつもならこんなにハードでスリリングなとこにいれば頭の中はとっくに空になって、精神が山や自然と一体になっている頃。でもその時は全く訪れなかった。
なんで、これは誰かの呪いなのか
想定外の岩稜帯を登りきるとやっとで三国岳の避難小屋にたどり着き、小屋の前の広場に倒れる様に座り込んだ。そしてペットボトルのお茶をガフ飲み。本当に疲れたし、暑いし、滝の様に汗をかいたし、気分も冴えなくて今日は辛いだけで全然楽しくなかった。
チョット長いだけで楽勝かと思ったのに。地図をダウンロードしてコースタイムと登山口だけ調べて、道中がどうなってるのか下調べも何もして来なかった。往復20kmオーバーのロングルートなのに、朝ダラダラしてかなり遅めの6:30スタート。
今はもう10時前。ここまでまだ全体の三分の一程度で、コースタイムと自分の残りの体力から推測すると山頂に着くのは14時頃となる。しかも最悪な事にかなりガスって来た。このまま進めば景色なんて全く拝めない上、例え登頂出来ても帰りは夜だろう。大量に持って来たはずの水の消費も激しくて心配だった。
年に何回か本気で会社を辞めたくなる。
もっといい給料が欲しいとか、仕事がしんどいとか、パワハラで困ってるとか、田舎暮らしをしたいとか、山に関係する仕事がしたいとか、そんな良く聞くベタな理由ではない。
今の仕事は色々考える事は多いけど、ディスクワークでマイペースでやれるし、星の数程ある仕事の中では多分楽な部類かもしれない。贅沢をしなければ毎日自分も家族も普通に生活出来てるから収入にもそんなに不満はない。仕事内容も嫌いではないし、むしろやりたかった事が出来ているから幸せなんだと思うしかない。
でもなんと言うか、最近と言うか、今の立場になってからと言うか、こんな世の中になってしまってからと言うか、何かを恐れているのか、本当に些細な事を色々と気にする様になってしまった。
仕事、同僚、友人、時には家族、色んな事が気になってしまって、考えてしまって、最後には大体嫌な気持ちになる。そして自分にそんなの我慢しろと言い聞かせてながら毎回とても落ち込む。だから嫌な気持ちにならない様に、ショックを受けない様に色々な事から逃げたり避けたりしようとしてる自分がいて、時には自分を守ろうとしていたりして、そして一人になるとやっぱ一人は楽だなぁ、安心だなぁって思う様になってしまった。いつからこんな変な思考のキャラになってしまったんだろうか。自分はもっと脳天気でテキトーで明るい奴だったはずだ。
まだ大丈夫そうだけど、最近病んで会社に来れなくなってしまった人達の気持ちとが、徐々にではあるけど理解出来る様になって来た。気がする。
この前部下の若者に変なトラブルが起き、私は上から地味に責められた。正直なんかオレしましたっけって思ったし、Z世代の考えてる事なんて、昭和と平成を生き抜いてきた俺に理解出来るわけないし、こんなご時世なんだから原因は様々でしょって言ってやりたかったけど、私自身も少なからず責任を感じてしまい、まあまあショックを受け、仕事とか全然手につかなくなった。その食らったボディーブローは結構効いてたみたいで、日課のジムやランニングもやる気が失せて全く行かなくなったし、山登りにも行こうなんて思考にもなれなれなくなった。
長く働いているとたまにこう言う事が起き、そしてその度に本当にもうこんなん嫌だと心から思った。
私はガスって目の前が真っ白で半分道が崩れて崩壊した歩きにくい稜線を無心で進んだ。
本音はもう今日の事は無かった事にしてとっとと引き返したかった。濃厚なガスで景色は全然見えなかったけど、大量にトンボが飛び、様々な花が咲き乱れていて天国みたいだった。でも楽しくもなんともないし、苦痛しかないし、今の状況に後悔しかない。そんなアップダウンだらけの稜線を進みながら、どうしようもない疲労感と、今日はどうなってしまうのかと言う不安感に包まれながら、もう諦めて引き返せと自分に何回も言い聞かせていた。
正直引き返す寸前まで追い込まれてたんだけど、ここ最近の精神状態で諦めて家に帰ってしまったら、その後自分はどうなってしまうのだろう、それを想像するとそっちの方がもっと怖かった。
私は二十代の頃はあるクソみたいな会社にいて薄給で生活に自由はなく、未来の見えない毎日に悩まされながら苦しんでいた。夢見て飛び込んだ業界だったのに現実は楽しくもなんともなくて、いつもこの会社や業界からドロップアウトする方法を模索していた。
毎日何をやらされているのか理解出来ないまま、いい人なのか悪い人なのかよく分からない上司や先輩達に言われた通りに淡々と作業をこなし、うんざりするまで延々とアイデアを出し、スケッチを描き、模型を作り、毎晩終電か徹夜をしていた。
仕事が好きだったからアレを続けられたんでしょって言われるけど、現実は全然そんな綺麗な感じでは無くて、日々の苦しみと先の見えない絶望感が半端なさすぎて、好きとか嫌いとかそんなのとっくにどうでも良くなっていたし、頼むから普通の生活をさせてくれよと、毎日信じてない神様に願ってた。
でもあんなクソみたいな毎日でも唯一の救いだった事があって、それは仕事を終わらせてクライアントからオッケーが出て納品してした時にだけ味わえるあの達成感と、どうしようもない爽快感。仕事がひと段落すると先輩達と酔い潰れるまで酒を飲み、ぐっすりと眠った。
多分あの感覚をまた味わいたいからまた次の案件も我慢出来たし、なんとか自分を保てた。だから今までこの仕事を続ける事が出来た気がする。
雲の切間から時折見える青空を眺めながら、アルプスの様な稜線をヨチヨチと進むと山頂の標柱が見えた。気づくと頭の中から仕事の事はとっくにいなくなっていて、そして何も考える事が出来なくなっていた。
私は誰もいない山頂の岩場に寝転がるとどうしようもないぐらい幸せで心地よい感覚に包まれた。本当に引き返さなくて良かったと思った。
登ってて全然楽しくなかった。久々に死ぬほど辛かった。もういい加減山登りをやめようぜと思った。何の為にこんな目にあって、自分を追い込んで、苦しみながら山ばっか登っているのか本格的に訳わからなくなって来た。
放心状態でガスった風景をしばらくボーッと眺めていたら、一瞬ガスが晴れて目の前に澄んだ青空や広大な山々が広がった。一瞬だけだったけど凄い風景だった。なんか急に目頭が熱くなり、その風景が少し滲んでボヤけた。
以前から薄々気付いていたけど、私はやはり山や山登りが好きなワケではない気がする。多分好きだと思い込んでいるだけだ。
山の空気は好きだけど、やはり体を動かすのは好きになれないし。みんながやってるみたいに山でのんびりワイワイと楽しめない。毎回登頂すると、山が名残惜しいとか、ずっとここにいたいとか全く無くて、さっさと帰って風呂に入りたいと思ってしまうし。
でもこれまで散々山登りを続けてきてみて、苦しくても我慢して耐えてきて、登りきらないと見えない風景と言うモノがある事にある日気付いた。
それは普通に暮らしているだけでは絶対に見れない素晴らしい風景で、私はこれまで社会に出てからそんな風景を何回か見て、その度にその風景に救われて来た気がする。
荷物をまとめて長すぎる帰り道の事を考えると心底ゾッとした。そしてヘッデンをザックの奥から取り出して、いつでも使える様にポケットに入れた。
なんでわざわざこんな罰ゲームみたいな目にあわなきゃいけないのか。こんなの何が面白くてやってるのか、やっぱり理解出来ない。
・AM6:00 御沢登山口駐車場着
・スマホの電波入らんから紙で登山届け
・AM6:35 ではスタートです
・本日のワールドマップ
・しばらくなだらかな林道
・ここを右
・本格的に登り開始
・下十五里
・中十五里
・上十五里
・トンボ増加中
・クソあちぃ
・とてもロング
・横峰到着
・多分これから歩く稜線
・とても貴重な水場。冷たくて美味しい。この後はまともな水場無し
・AM8:42 やっとで地蔵山分岐。ここを左
・次の目的地の三国岳までこんな感じで楽勝かと安心しきってた
・トンボまみれ
・お花も増加中
・なんか三国岳方面がガスってきてる。意外とかなり登りそう…
・稜線の方もガスってきた
・いきなりかなり急な岩場が出現
・岩場にピンクの花は珍しいヒメサユリ
・なんなんやこの延々続く岩場は
・どんどん険しくなる(汗
・どんどんガスる
・岩場の途中に剣ヶ峰
・結構西穂チックな岩稜。しんどいから勘弁して
・鎖場やロープもありでアスレチック。ちょい激しい
・想定外すぎてマジで疲れた(汗
・AM9:40 やっとで三国岳の小屋へ
・あまりの疲労に座りこんで動けない。今日はダメっぽい。汗もヤバいし水の消費も激しい。帰りたい…
・最悪飲み物はここで買えそう
・AM9:50 嫌々小屋の先へ踏み出す。時間ないし不安しかない。ここから山頂まで4時間はかかるらしい
・ガスの向こうに結構な雪渓
・お花が増える
・なんも見えんし歩きズレーし、辛いだけでモチベ激烈低下中
・お花まみれ
・タネでもまいたんかなぁ
・黄色だけじゃなくてピンクもいっぱい
・これも大量
・やっぱり出てきた雪渓。今日は勘弁して欲しい…
・結構急でツボだと越えるのがチョット怖かった
・雪渓ゾーンを抜けて
・AM11:00 稜線の中間地点の切合小屋が
・結構立派
・小屋の人作業中
・マジでぐったり。ここまでもかなり長かった。飲めるか怪しかったけど我慢出来ずに水場の水を飲む
・そしたら突然青空が!少しガスが晴れるだけで大分気が楽になった
・進行方向に凄そうな雪渓を確認
・これは…。流石にストック出してチェンスパ装備
・ひたすら急な雪渓登り。ある意味大雪渓
・雪渓を登りきると草履塚と言うピーク。疲れた…
・この先は雪渓無し。アルプスみたいな稜線になってきた
・ガスが切れると綺麗な稜線が続く。その先にすごげな岩稜が
・飯豊山から大日岳に続く山々が見えた!ゼブラ模様が凄く綺麗
・あの雲の中が山頂なんかなぁ。良く見えない
・味のあるお地蔵様
・地蔵の先はまた険しい感じの岩場
・ガスの中岩場を進む
・ガスの下の方から滝みたいな豪音が。チト怖い
・岩場を越えると平和な感じに。ガスがなかなか取れないし
・この看板が見えると
・突然急登が始まる。ガスで先が見えないからこんな凄い坂があるのが気づかなかった
・とんでもなく登らされる
・今日一の登り。ガスが切れて先が見えてぞっとする(汗
・なんとか登りきったっぽい。マジで疲れた
・あの雲の中が大日岳なんかなぁ
・PM12:47 ついに本山小屋。ここで泊まる人が多いらしいです
・人が多くてとても賑やか
・神社的なのもアリ
・時間がないから休憩無しで先へ。結構限界モード
・あのガスの中に飯豊山の山頂が。もう近いはずだけど
・咲き乱れるリンドウ
・あのガスの中が山頂か…
・本当にこの山はヒメサユリが多い
・歩いて来た稜線を振り返る。凄いアルプス感
・PM13:07 ついに山頂!日本百名山62座目
・どうやら登りきったみたい…。でもガスガス。横の岩の上に倒れ込む。今回は真面目に辛かった。僕がショボいのか、山が凄いのか。
・でも本当に引き返さなくて良かった。ただそれだけ…
・突然雲が晴れて一瞬凄い景色が
・またすぐにガスったけど嬉しかった
・時間無いけど昼飯食べないと帰りがもたない
・どろぐちゃクリームパン。食えない
・帆立塩ラーメン。美味しい
・しばらくてんとう虫と一緒にボーっとしていた
・PM13:56 じゃあ気長に帰りますか…
・帰りは結構ガスが晴れて遠くまで見えた。こんなとこを歩いて来たなんて
・素晴らしいゼブラ模様
・行きは見えなかった激急登と飯豊山
・登り返しで全然楽じゃない帰り道
・雪渓ゾーンの草履塚から三国岳まで見渡せた。ひたすら遠い事が判明
・遠くで歩き辛い三国岳までの道のり。泣きそ(汗
・剣ヶ峰の岩稜帯。あれをまた下るのか
・本当に雄大
・PM16:17 なんとかここまで戻ってこれた(汗
・ジュース500円。冷えてないけど美味しいし、少し生き返った。小屋の管理人のおじちゃんに色々教えてもらった。
・PM16:41 では再開。この岩場ゾーンさえなんとかクリアすれば後はダッシュで下りれるハズ
・磐梯山かな。また行きたい
・本当に今回は正直辛いだけの登山だった…
・18:27 なんとか暗くなる前に下山。疲労困憊で駐車場にぶっ倒れて放心状態
・夢の森温泉へ。なんとか温泉にも間に合う。凄い助かった
・喜多方ラーメンが身に染みまる。帰らずにそのまま道の駅でチューハイ飲んでバタンキュー。翌日温泉やサウナりながらのんびりと帰りました〜
今回はモチベーション低めなのと体調がイマイチで辛くてあまり楽しめなかったですが、予想に反して東北とは思えないアルプス的な山で本当は凄くいい山です。今度は元気な時にテント担いで、飯豊連峰最高峰の大日岳を目指します!
ではでは
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