銀山平登山口からピストンルート
登山日 2022/10/21(金)
総歩行距離 9.1km/累積標高差↑1373m↓1373m
体力度★★★☆☆
危険度★★★★☆
絶景度★★★★☆
※あくまで個人的な感想と計測
【コースタイム 】
・登りCT4:10 →結果4:00
・下りCT3:35 →結果2:37
・トータルCT7:45 →結果6:37
※トータルに昼休憩時間は含まない
【登山口と駐車場】
関越自動車道小出ICからシルバーライン経由で来るのが早いかもです。登山口はシルバーラインを銀山平温泉方面に抜けてすぐ。福島側から行くと奥只見湖の道がハンパなく長くて、ミラクル遠いです。登山口には20台ぐらい停めれる駐車場と綺麗なトイレがあります。
10月末からは山は冬期閉鎖されるのでご注意を
【地図等の詳細データはヤマップにて】
https://yamap.com/activities/20381893
荒沢岳と紅い山々とワカモノ
明日鎖場の鎖が撤去されるとこ事を知り、急遽会社を休んで登りに来た荒沢岳。
新潟の奥只見湖と越後駒ヶ岳のすぐ側にあり、以前越後駒ヶ岳を登った時に、荒沢岳を見てからずっと気になっていた。少し調べてみると鎖場やロープが張ってある箇所が連続する危険な岩場もあるらしく、越後の穂高と呼んでる人もいるとかいないとか。
そしてこの新潟の奥只見エリアはとにかく山深く、ハッキリ言って秘境。三年前の秋にこのエリアにある平ヶ岳を登った際に、燃える様な紅葉のパノラマに遭遇し、また来るならこの時期に訪れたいと思っていた。
足を滑らせたらまず助からないであろう崖みたいな岩壁をハシゴと鎖でひたすら登り、痩せた長い急登をバテバテにながらなんとか登りきると、目の前には赤く染まった越後の山々の大パノラマがどこまでも広がっていた。
そして山頂で僕はある二人の若者と会った。
一人は女子大学生。昨日平ヶ岳を登ってその日は車中泊して、今日はここへ来たらしい。幼稚園の時から両親とアルプスを中心に山を登り、大人になってからはソロで好きな様に山を登る生粋の山好き。日本百名山も残すはなんと一座らしく、山関係のバイトをしながら交通費を稼ぎ、山に通っているのだとか。
遅れて登ってきたのは二十代後半の男性。彼もまたとにかく山が好きそうな真面目そうな好青年で、山の話しをする彼は自信に溢れていた。山の知識や地理にとても詳しく、若いのに凄いなぁと思っていたら、なんと僕もフォローしている山系ツイッターの有名人だったりした。そりゃ詳しいわけだ。
20代の若い二人が、新潟のこんな秘境にある、少々マニアックな荒沢岳に単独で千葉から車でわざわざ7、8時間以上かけて来てしまうのだから、ただただ感心するしかなかった。
山で若者に会う事はあるけど、大体カップルか仲間と来たりしていて、皆なんとなく山と道ルックだったりして、オシャレに着飾って流行りに便乗して山に来ている感じもしなくもない。
でもこの二人はそう言うふうには見えなかった。
目の前に見える巨大な越後駒ヶ岳を嬉しそうに見つめる二人を見ながら、僕は自分が20代だった頃を振り返ってしまっていた。
あの時自分はいったい何をしてたのだろう。
ミレニアムだね!とか言いながら2000年を迎えようとしていた頃、僕は学校にもろくに行かずにバイトに明け暮れ、毎日プレステやレンタルビデオや音楽活動やドライブ、そしてたまにスロット、後は友人との飲み会や合コンに夢中な日々を送っていて、決してイケてはなかったけど、イテてないなりにもなんとかモテたい一心で。運動とか健康とかなんて無縁のインドアな毎日だったし、暇があればタバコばっか吸っていて。
一応建築学科だった記憶もあるけど、学校で勉強なんてした記憶が無く、将来の夢とか目標とかそんな高尚なもんも無く、とりあえず今が楽しければそれでオッケー、みたいな当時どこにでもいそうな世の中を舐め腐った典型的なアホな学生だった。
そんな僕は大学を卒業すると金欲しさに実家に戻り、今で言うところの地方ならではのブラック中小企業に就職してしまった。まぁでも就職氷河期の真っ最中だったから、就職出来ただけマシだと思っていて、働いている間もここがブラック企業と言う事にも気づかず、社会って厳しいし、本当にくだらないと思っていた。
薄給なのはまぁいいとして、問題なのは興味の湧かない仕事内容とムカつく先輩と上司。仕事が終わると週3か4で上司と先輩の居酒屋や焼肉やスナックに付き合わされた。僕は仕事中は良く寝てるし仕事もろくに出来ないから、スナックに行った時は上司達の為に心を込めてカラオケを熱唱した。
そして休日は毎週何故か上司の命令で大嫌いなソフトボールやゴルフの練習に駆り出された。運動バカで野球をやっていた体育会系の同僚は先輩達にチヤホヤされ、そうではない僕は毎度コケにされるだけ。どうする事も出来ず、その苦痛の時間をじっと耐え、はやく時が過ぎるのを待っていた。だから今でも野球は見るのも嫌い。
学生時代と真逆の生活。この就職により完全に自由を奪われた僕は、その腹いせに身の丈に合ってない280馬力のターボ四駆車をニコニコ60回ローンで買った。元々車は好きで良く走りに行ってたけど、当時の馬力規制の上限である280馬力の車に乗れば、自分の価値観や、こんなどうしようもない毎日が変わるんじゃないかと本気で思ってしまって。でもまぁ変わるわけないんだけど。
ヒマさえあれば友達を誘ってドライブに出かけ、夜な夜な山に走りに通いつつも、その維持費に追われる日々。自由な時間どころか会社の付き合いやら車の維持費やらで金も無くなってしまい、いよいよ本気で追い込まれてしまった。
ヘタレでクズだった僕がこんな生活な耐えられるわけ無く、会社の社長と両親とも大揉めした挙句一年足らずで仕事を辞め、車を売って金を借り、東京へ上京と言う名の逃亡を図った。
まぁ逃亡後もある意味もっと大変な毎日が待っていたわけだけど。
高校まではピュアで無知なただの田舎のキモオタだったのに、大学から一人暮らしを始めて大学デビューして浮かれていた学生時代と、クソみたいな社会人生活と時代に翻弄されながら、かなり精神が腐って歪んでしまった気がする。
今の自分の人格が形成されたベースは間違いなくあの20代の日々だろう。
だからかそんな僕の目には二人が信じられないぐらいまともな若者に映った。ハッキリ言って僕の知らない世界の人間だ。僕の知る限り、学生時代や20代に山をこよなく愛して、山へ足繁く通う友人や、こんな景色を見て感動している知り合いなんてまわりに一人もいなかった。
こんなクズでカスみたいな20代を過ごした僕が、もしあの時からスポーツやアウトドアに勤しみ、自然に興味と感謝の念を抱き、山と向かい合い、絶景やこんな紅葉のパノラマを目の当たりにしていたら、一体どんな人格が形成され、どんな人生を選択していたのだろう。
全然想像つかないけど、とりあえず今よりはもっと性格が良かったはずだ。
・予想に反して金曜なのに早朝から満車な登山口の駐車場。隙間にギリ駐車出来てセーフな感じ
・AM7:10 準備が出来たらいよいよスタート。コースタイムもいつもより短めなんで、今日はのんびりと紅葉の写真を撮るのが目的っす。慌てずに
・そして登山口の看板には鎖場の鎖の撤去予告が。明日22日の土曜に撤去作業が行われて閉山される予定。と言う事で登れるのは実質今日まで。登山者が多いこの土日が終わってから撤去するのが普通の発想だと思うけどなぁ。変なの。
鎖場の鎖なんていつも使わない事が多いから、鎖が無くてもきっと登れてしまうんだろうし、撤去されても登ってしまいそうな人がいる気がする…
・やっぱ朝はさみ〜わ
・スタートしてすぐ水場
・いきなり急登。谷川の西黒尾根の最初の雰囲気に似てる
・長いしもちろんキツい(汗
・急登を登りきると紅葉した荒沢岳が〜!山頂へ続く尾根も確認。予想より大分遠く見えますけど(汗
・やっと少し平坦になった
・すると何故か下りに
・そしてまた登り
・落ち葉が綺麗
・コレってもしや2合目って意味?かなり歩いたつもりだったのですが…。気のせいであって欲しい(汗
・なんか前方の尾根がかなり急登に見えます。もしやアソコが鎖場ゾーンなのか
・ススキ
・歩いて来た道を振り返ると紅葉がめっちゃ綺麗なんですが!
・紅葉が素晴らしい!やっぱ来て正解だった
・赤い葉っぱ
・再び急登開始
・予想通り鎖場が。これぐらいなら気を付ければ鎖無くても登れそうやけど
・そしたら垂直な感じの、すんごい長いハシゴが…。地味に怖いし
・分かり辛いけど見下げてます。崖な感じで凄い高度感なのです
・またハシゴ
・鎖が何箇所か連続。まあまあ激しくなってきた。なるほど、鎖が撤去されたら登れない理由が少し理解出来てきたかもです
・すると樹林帯を抜けて鎖もなくなり、更によじ登っていくと
・AM9:05 目の前にとんでもないビジュアルの岩山が出現。「前グラ」と言うピークらしいです。ていうか紅葉も強烈!その遥か奥に荒沢岳が。
でも冷静にコレどつやって登るの?道なんか見えんし、かなりヤバそうな雰囲気なんですが…(汗
・どうやらここが中間地点らしいっす。長いわぁ
・目の前の前グラを登るのかと思ったら、逆にどんどん下り始めた。ロープを使って下って急降下して行く
・良かったー、岩山を登らずに巻いて行くルートだったとは。まぁ普通に考えたらそうだよね〜。あんなの怖いし
・と思ったら突然壁みたいな岩場へ…
・ほぼ垂直な感じの先の見えない長い崖登り開始された。鎖にしがみつきながら登り進む
・登りきった…。怖くて下見れない。これは流石に鎖ないとヤベーっす(汗
・まだ岩壁は終わらない上に、何故か途中で鎖が無くなったし(汗
どんどんよじ登っていく
・背後に広がる景色も凄い!紅葉と奥只見湖がめちゃくちゃ綺麗〜
・また垂直な感じの鎖場
・下見るとスーパー怖い(汗。ここまでアドレナリン系の山だったとは…。鎖が撤去されたら絶対登るのはやめましょう。普通の人は多分無理です。
・そして再び鎖の無い岩場をよじ登ると
・目の前に荒沢岳!
・もしかしてここってなんかのピークなの?
・とりあえず荒沢岳を眺めながら休憩。山頂まで続く尾根がなかなかで、まだ先は長そう
・痩せ尾根稜線歩き開始
・下方に滝が見える〜
・あー、しんどい(汗
・でも振り返ると絶景!
・ひたすら急登…。バテバテです(汗
・足元悪し。すべる
・やっとで9合目〜!予想してたより遥かにハードっす
・山頂はあれですか?
・岩の脇をトラバースすると
・やっとであれが山頂かー!また鎖が見えるけど(汗
・なんとかこれを登りきれば…
・実は山頂は更に先だったって言うオチ
・PM11:10 そしてやっとで登頂完了!
あのう、標柱の後で弁当広げて休憩するのは本当にやめましょう
・登って来た尾根。そして紅葉のグラデーション
・目の前に越後は巨大な越後駒ヶ岳!その後に八海山も見えるし
・エチコマをアップ!
・その横の中ノ岳アップ!
・左端の双耳峰が燧ヶ岳で右端の平な山が平ヶ岳。奥の尖ったやつは白根山帰り。グレイトな景色!
・そして飯を食べながら二人のワカモノと交流
・PM12:30 山頂に長居し過ぎたからボチボチ下山
・下山中もとにかく紅葉の景色がすんごい!
・景色に心打たれまくり
・ただただ見とれながら
・やっぱ紅葉はええなぁ
・エチコマ最高!
・いよいよまた例の前グラ岩壁ゾーンへ…
・PM13:50 なんとか無傷でここまで戻って来たし(汗
・年中溶けない雪
・最後まで気を抜かず
・ここまで来ればもう安全か
・後はひたすら急登を下るあるのみ
・無事に帰還!帰りはあっちゅうまだった〜
・予想以上にハードだったけど、スリリングな鎖場といい、すんごい紅葉といい、本当に楽しい山登り!会社休んで来て大正解
・帰りも奥只見シルバーラインから。このトンネルSFちっくで本当に大好き
・下山後の温泉は本来であれば、銀山平温泉が登山口から近くてかなりいい感じの温泉なんですけど、最近新潟や魚沼エリアに来ると、帰りの温泉は千手温泉千年の湯の一択になってしまっていル。
この温泉は十日市にある日帰り温泉なんですけど、泉質が良すぎて、雰囲気も好きで、サウナも水風呂もなかなかで、ほんとに好きすぎて困ってます。
東京に帰ってしまったら多分なかなか来れないだろうから、今ウチにしっかり入っておきたくてついついここに来てしまう次第で。
・そして帰りに上越で食した塩ラーメンがうますぎた〜。やっぱ山登りには塩ラーメンでしょ!
以前から気になっていた荒沢岳にやっと登れました!このエリアは本当に紅葉が凄いから、登るならこの時期を狙ってました。
来る時に実は平ヶ岳と迷ったんですけど、コチラで大正解!平ヶ岳は長い尾根道をひたすら登り進むハイスピードな感じですが、荒沢岳はバリバリの岩場登りのアスレチックな山。アドレナリンも分泌されまくりでハードでめちゃ楽しいです!
最初は鎖が撤去されても登れるでしょって思っていたけど、ビレイとかしないと正直無理ですね。このブログがアップされる頃はもう鎖は無いと思うので、行かれるならまた来年ですかね〜
ではでは
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